庄子渉
Wataru Shoji


今年度よりPARADISE AIRでは、国内外の様々なアーティスト・イン・レジデンスや美術館、ギャラリーなどとの連携を行うCROSS STAY Programに取り組んでいます。
その事業の一環として、国内外の様々な施設や団体の人々を訪れ、ネットワーク構築を進めています。「世界のアーティスト・イン・レジデンスから」は、それぞれの視察の経験をPARADISE AIRスタッフはもちろん、みなさまと共有する報告会シリーズです。
シリーズ第一弾は、世界的なアーティスト・イン・レジデンスのネットワーク、Res Artis(オランダ)や、そのカンファレンス(デンマーク)に参加したスタッフの庄子が、コペンハーゲンやアムステルダムでの滞在の様子を報告しました。
日時:2017年11月14日(火) 19:00~21:00
会場:PARADISE AIR 5F
住所:松戸市本町15-4 ハマトモビル
料金:無料
発表者:庄子渉(PARADISE AIRプロデューサー/コーディネーター)
—Res Artis とは?
アーティスト・イン・レジデンスのネットワークです。アムステルダム、テヘラン、メルボルンの3カ所に拠点があります。「アーティスト・イン・レジデンスはアーティストを助けるためにある。そのためにレジデンス同士もお互い助け合おう」をモットーに、1993年にひとりの女性が始めました。驚いたことに、現在この団体は公的助成を受けていません。主な運営資金は登録している世界各国のレジデンス団体の登録料です。そのためかスタッフ人員も最小限。それぞれの拠点にスタッフは1人のみという運営体制です。
http://www.resartis.org/en
2年に一度、Res Artis Meeting が開催されます。今年のテーマは「制作のためにレジデンスは何を準備できるか」ヨーロッパのレジデンス団体の参加が多く、アジアからは少ない。日本からは今年はPARADISE AIRのみでした。
このミーティングやカンファレンス、施設見学を通して庄子が気になったレジデンスをいくつか紹介します。
—コペンハーゲンのDAW(Danish Art Workshop)
1986年にスタートしました。写真でもわかるとおり、設備が超充実してます。
滞在アーティストは年間100組。国の支援で成り立ってることもあって、デンマークと関わる作品が求められ、デンマークのアーティストが多いです。制作、展示、宿泊それぞれ場所は分かれてます。
—ドイツのAkademie Schloss Solitude
ここはトーキョーワンダーサイトとコネクションを持っていて、日本でも知られてますね。
ここの人がプレゼンで言っていたことが面白い。「アーティスト・イン・レジデンスは、TheatreでもミュージアムでもSchoolでもない。未来をつくるためのラボだ。だからみんな、もっと考えていいんじゃないか?」「レジデンスでは作品をのこさないことを望みがちだけど、そこに挑戦するにはどうする?」こう言った彼がいきついたのが、‘Web Residencies’。全てウェブ上で進行するレジデンス。(もはや国にも来ないから、レジデンスとよべるかわからないけど…)スタッフとウェブ上でやりとりして、作品の公開もウェブ上で行うというレジデンス。たしかに、作品はウェブにのこるけれどもね…(笑)。
http://www.akademie-solitude.de/en
—オランダのDutchculture
Dutchcultureは、アムステルダムの文化街にあります(隣りにはゲーテ・インスティテュート)。オランダの外務省や文化庁から支援を受けていて、日本の国際交流基金的な存在かな。オランダのアーティストや作品を海外に発信することが目的とした機関。今回は会えなかったけど、日本人のスタッフも勤務してるようです。ここは非英語圏の団体に対してエディターが丁寧にヒアリングして情報を再編集してくれる。1500団体が登録していて、どの団体とも「最近どう?」と近況をシェアしているというからすごい。スタッフは人数がいるし、それぞれの専門を分担してフレキシブルに仕事をしている印象だった。スタッフが1人しかいないRes Artisでは、そのスタッフが休みをとるとその間機能停止してしまうわけだけど、Dutchcultureはかなり柔軟な働き方ができる。このフレキシビリティは、Paradise Airの鍵になるのでは?
https://dutchculture.nl/nl
—そのほかのレジデンス
FFKB(コペンハーゲン)
m4(アムステルダム)
air WG(アムステルダム)
MMCA(ソウル)
Residency Unlimited(ニューヨーク):応募時点で超ヒアリングがある。専門家とのパートナーシップが上手い。財団とは直接連携をとらないので、アーティストは少し苦労するかも。以上、世界のアーティスト・イン・レジデンス第一弾「アムステルダム、コペンハーゲン篇」庄子が撮影した町の写真を見ながら旅行気分のうちに終了しました!会場の歓談も盛り上がり、とくにドイツの’Web Residencies’については「ここまでいくと、なにをレジデンスとしてるのだろう??(笑)」と気になる話題となりました。
池上綾乃(参加者)
2018.02.21







